コロナに効く飲み薬が承認間近!?「モルヌピラビル」の安全性や飲み方、購入方法は?
新型コロナに効く飲み薬「モルヌピラビル」が2021年11月、イギリスで承認され話題となっています。
感染初期に役立つ治療薬として日本でも大きな期待が寄せられていて、厚生労働省は2021年内の実用化を検討しているようです。
しかし、「これでコロナを怖がらずに過ごせる?!」と思うのはまだ早いかもしれません。
実は、国内でも無事に承認されたとしても感染者全員がモルヌピラビルを処方してもらえるとは限らないのです。
この記事ではモルヌピラビルの承認後の処方までの流れや、実際の服用方法について解説します。
私たちの今の生活に、モルヌピラビルがどう影響していくのかを一緒に考えてみましょう。
モルヌピラビルは、12月24日に軽症・中等症向けの治療薬として特例承認を受けました。
12月27日からは一部の医療機関で使用が開始されています。
モルヌピラビルの日本承認はいつ?すぐに処方してもらえる?
モルヌピラビルの製造元は、アメリカの大手製薬会社・メルク。
メルクは2021年末までに全世界へ向けて1000万人分を製造・販売するとしており、2022年にはさらなる増産を予定しています。
しかし、コロナにかかったからといって、希望する人すべてがモルヌピラビルを処方してもらえるとは限らないんです。
すべての病院で処方してもらえるわけではない
感染症は、危険性の高い順に1~5類に分類されています。
2021年11月現在、新型コロナは2類感染症に分類されていて、患者の治療にあたれるのは限られた医療機関だけ。
「コロナかも…」と思って病院を受診しても、すぐに診断や治療に移れるわけではありません。
受診した病院が指定の医療機関でなければ、保健所の指示待ち状態となってしまうのです。
つまり、モルヌピラビルが承認されたとしても、処方してもらえるのは指定医療機関を受診した人だけ。
「コロナになってもモルヌピラビルを出してもらえば大丈夫」とは、まだまだ言えないのが現状なんです。
コロナの治療は「重症化リスク」によって変わる
現在の新型コロナ治療では、重症化リスクのある患者が優先されます。
軽症と判断されても、重症化リスクがある人は治療薬の投与対象とされているんです。
50歳以上
肥満(BMI50以上)
高血圧を含む心血管疾患
喘息を含む慢性肺疾患
糖尿病
慢性腎障害
慢性肝疾患
免疫抑制状態
現在の治療方針から考えると、モルヌピラビルも重症化リスクがある人が処方対象となる可能性があります。
すでに承認しているイギリスでも、重症化リスクが一つでもある患者を優先に処方する方針。
すべての人が「感染初期に使える飲み薬があるから安心」と言えるようになるのは、当分先のことかもしれません。
飲めばコロナが治る?モルヌピラビルの正しい飲み方
モルヌピラビルは、カプセル状の飲み薬。
体内に入り込んだコロナウイルスの増殖を抑えることで、重症化・死亡のリスクを大幅に低下させます。
コロナにかかっても軽症のまま治すためには、症状が現れてから5日以内に服用することが大切。
服用が早ければ早いほど軽症のまま回復する確率が高まり、治癒までの期間も短くなります。
【モルヌピラビルの服用方法】
飲む回数 | 1日2回 |
飲む量 | 800mg |
飲む期間 | 5日間 |
飲み方だけ見れば、ごく一般的な風邪薬となんら違いはありません。
新型コロナにかかっても、「風邪をひいて病院に行き、処方してもらった薬を数日飲む」という当たり前の治療が受けられるようになるのです。
飲むだけで死亡リスクを半減?
モルヌピラビルが、新型コロナに対する「革新的な薬」と言われる理由は治療の手軽さと効果の高さ。
臨床試験では、重症化による入院や死亡のリスクが半分まで減ったことが確認されています。
服用量に対する効果を検証するため、モルヌピラビル200mgから800mgを投与するグループとプラセボ(偽薬)を投与するグループを比較。
モルヌピラビルが投与されたグループは、用量に関わらずプラセボ群よりも入院や死亡数の30%減が確認されました。
プラセボ群 | モルヌピラビル群 | |
入院・死亡率 | 9.7% | 6.8% |
またモルヌピラビルを飲めば回復できるため、プラセボ投与のグループがあまりにも不利益だと、予定よりも早く研究が切り上げられたほど。
このエピソードからも、モルヌピラビルの効果と安全性の高さがよくわかります。
モルヌピラビルは課題が山積み!これまで通り感染対策はしっかりと
新型コロナに振り回される生活が始まってもうすぐ2年。
モルヌピラビルの承認が近づいて少しずつ安心感が増えている一方、まだまだ油断できないのが現状です。
新薬の承認=誰でも服用できるようになるわけではなく、承認されても処方までに時間がかかったり、指定機関で受診をしないといけなかったりと課題は山積み。
「いっこくも早く治療したい」と感じるのはみんな同じですが、大事なのはコロナに感染しないようにこれまで通り感染対策をしていくことです。
「コロナになっても大丈夫」ではなく、まずはかからないことを心掛けましょう。